宇宙の始まりとは何だったのか。この問いに答えるために科学者たちは長い年月をかけて観測と理論の研究を進めてきました。その中で、現在最も有力とされているのがビッグバン理論です。この理論は、宇宙が約138億年前に一点から膨張し始めたという考えに基づいています。ビッグバン理論の進展は宇宙の過去を明らかにし、未来を予測する鍵となる重要な研究分野です。ここでは、この理論の基本から最新の発見までを詳しく探っていきます。
ビッグバン理論の最も重要な基盤となったのは、宇宙が現在も膨張を続けているという事実です。これは1929年、天文学者エドウィン・ハッブルによって発見されました。彼の観測によれば、遠くの銀河ほど私たちから遠ざかる速度が速いことがわかります。これは宇宙そのものが膨張していることを示しており、ビッグバン理論の重要な証拠となっています。この膨張は風船の表面が広がるようなイメージで説明され、銀河はその表面に点在する模様のように引き離されていると言えるでしょう。
1960年代に発見された「宇宙背景放射」もビッグバン理論を裏付ける大きな証拠となりました。この放射は宇宙が誕生して約38万年後、初めて光が自由に空間を移動できるようになったときの名残です。当時宇宙は非常に高温で密度が高い状態でしたが、膨張とともに冷却され現在ではマイクロ波で観測されています。この背景放射は宇宙全体に均一に広がっており、その微妙な揺らぎを解析することで初期の宇宙がどのように進化してきたのかを知る手がかりが得られます。
現在の研究では、ビッグバン以前の状態についても探る試みが進んでいます。一般的にはビッグバンは時間と空間が始まった瞬間とされていますが、その背後にはまだ解明されていない謎が多く存在します。一部の理論では、「インフレーション」と呼ばれる極めて短時間の急激な膨張がビッグバン直後に起こったと考えられています。この仮説は宇宙が非常に均一である理由や、背景放射に見られる揺らぎの特徴を説明するものです。
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