AIが生成した漫画が増えている

これまでの漫画と言えば原作者が手書きで線画を描くところからはじまり、ペン入れをしたりトーンを貼ったりすることで完成させるのが一般的でした。
その後、コンピューターのグラフィックツールを使用するケースも徐々に増え始め、漫画の世界にもITの波が訪れていました。
ペンや筆とは違う画一的な独特のラインを描くことが可能となりこれまでに無かった表現をする作者がいる一方で、グラフィックツールでありながらもリアルなペンや筆の表現をすることも可能で、そちらを選ぶ作者もいました。
ここでグラフィックツールを使用して作られた漫画は、新たな表現と作業の効率化の二極化の様相を見せていました。
そのような状況から十数年経過した現在、今度はAIが作成した漫画が台頭し始めています。
当初は出力された絵に違和感があったり、ストーリーに整合性が無いケースも見られ、実験的なものとしては面白いものの作品の体を成していないものも少なくありませんでした。
しかし、ここ数年でAIに無数のデータを学習させるディープラーニングが一気に進み、一瞬見ただけではAIが作成した作品なのか、それとも人間が作成した作品なのは見分けがつかないものも登場しました。
出版社各社や漫画の電子書籍を配信しているプラットフォームなどでは、それがAI作品であることを明示するガイドラインが定められました。
一時は混乱は見られたものの現在は沈静化し、ユーザーは表記を見るだけでAI作品か否かを判断できるようになりました。
人間とAIなら人間の方が良いと言うユーザーが大半だった状況から、現在はAI作品であることを踏まえて別の楽しみとして考えることが増えています。
両者は争うものではなく、異なるカテゴリの作品としてそれぞれを独自に楽しむ傾向にあり、むしろ新たな楽しみが生まれたと言えます。
それでもなお人間の描いた漫画の方が評価が高く、作者の思いが伝わる筆遣いやタッチなどの表現がストーリーに厚みを持たせています。

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